うちの子、
最近よく『膝が痛い』って言うんだけど、これって成長痛かしら?
でも、サッカーのあとに痛がってるし…もしかしてオスグッド?
こんなふうに、成長期の子どもを持つ親御さんの中には、「成長痛」と「オスグッド」の違いがよくわからず、どう対応すべきか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
実はこの2つ、どちらも“成長期に起こる膝の痛み”という点では似ていますが、原因も対処法もまったく異なるんです。
今回は、
現場で多くの成長期の子どもをサポートしてきたスポーツトレーナーの視点から、
「成長痛」と「オスグッド」の違いを見分けるポイントを、わかりやすくお伝えします。
お子さんの膝の痛みが、何によるものかを判断し、正しい対応をとるためのヒントにしてください。
成長痛とは?
成長痛とは、骨や筋肉の成長にともなって生じる一時的な痛みのことです。特にケガや炎症があるわけではなく、「原因がはっきりしないのに脚を痛がる」というのが大きな特徴です。
成長痛とは、骨や筋肉の成長にともなって生じる一時的な痛みのこと
原因がはっきりしないのに脚を痛がる
成長痛の主な特徴
- 痛みが出るタイミング:夕方〜夜、寝る前など、リラックスしている時間帯に痛みを訴えることが多い
- 痛みの場所:太もも、ふくらはぎ、膝の周辺など、はっきりしないことが多く、左右どちらかだったり両方だったりする
- 日中は元気:学校や遊びの時間は普通に動けることが多く、運動中はあまり痛みを訴えない
- 年齢層:3〜12歳ごろの子どもに多く見られる
成長痛は、成長期のある一定の時期にだけ現れ、数日〜数週間で自然とおさまるケースも多いため、
「痛みの原因が見当たらないけど、生活に大きな支障はない」という場合には、この可能性が考えられます。
オスグッドとは?
オスグッド(正式には「オスグッド・シュラッター病」)は、成長期のスポーツをしている子どもに多く見られる膝の障害です。
特にジャンプやダッシュ、キック動作が多い競技(サッカー、バスケ、バレーボール、陸上など)をしている子によく発症します。
オスグッドの主な特徴
- 痛みの場所:膝のお皿のすぐ下(脛骨粗面)がポコッと出てきて、その部分を押すと強く痛がる
- 見た目の変化:膝下が盛り上がってくるのが目立つようになり、左右差が出ることも多い
- 日中の様子:動作時に痛みがあるため、走る・しゃがむなどの動きを嫌がる
- 年齢層:10〜15歳ごろ、特に男子に多い
この症状の背景には、骨の成長に対して筋肉(特に太ももの前側:大腿四頭筋)がついていけず、付着部に強い引っ張りがかかって炎症が起こるというメカニズムがあります。

放っておくと長引きやすく、痛みをこらえながら無理にプレーを続けることで悪化するリスクもあるため、早めの対処がとても大切です。
成長痛とオスグッドの「3つの見分けポイント」
「子どもが膝を痛がっているけど、成長痛なのかオスグッドなのか…」
そんなときは、次の3つのポイントをチェックしてみてください。
1. 痛みが出るタイミング
- 成長痛:夕方〜夜、リラックスしているときや寝る前など、安静にしている時間に痛みを訴えることが多い
- オスグッド:運動中・運動後に痛みが出る。特にジャンプ・ダッシュ・しゃがむ動作などで痛がる
2. 痛む場所
- 成長痛:膝の周囲や脚全体など、広範囲で場所がはっきりしない。左右で痛みが変わることも
- オスグッド:膝のお皿のすぐ下、脛骨粗面という部分を指で押すとピンポイントで痛がる。見た目も盛り上がってくることが多い
3. 日中の様子
- 成長痛:日中は元気で、走ったり遊んだりできる。運動中に痛がることは少ない
- オスグッド:動きに制限が出る。「走りたくない」「ジャンプできない」など、動作を避けるようになる
この3つをチェックすることで、ある程度の目安がつけられます。
ただし、痛みの強さや症状の出方には個人差もあるので、「これはオスグッドかも?」と感じたら、次のステップに進みましょう!
もしオスグッドだったらどうすればいい?
お子さんの症状が「これはオスグッドかもしれない…」と思ったら、早めに適切な対応をとることが重要です。
無理にプレーを続けてしまうと、痛みが長引いたり、最悪の場合は骨が剥がれてしまう(剥離骨折)リスクもあります。
ここでは、自宅でもできる基本的な対処法を紹介します。
1. 運動量の調整(まずは無理をさせない)
- 痛みが強いときは、思い切って運動を休ませる勇気も大切
- 痛みのない範囲での軽い運動やストレッチならOKだが、無理なプレーは避ける
2. アイシング(冷却)
- 運動後や痛みが強いときは、膝下を冷やすことで炎症を抑える
- 保冷剤や氷のうで、1回15〜20分程度が目安
- 皮膚を傷めないよう、タオルを1枚はさむと◎
3. 太ももの前側(大腿四頭筋)のストレッチ
- オスグッドの原因となる太ももの筋肉の硬さを、毎日のストレッチで少しずつ改善
- 特に「横向きで寝寝転がって足を曲げて、かかとをお尻に近づける」ストレッチが効果的
痛みが強いときは無理せず、軽めからスタート
4. テーピングやサポーターでのサポート
- スポーツを続けながら負担を軽減したい場合は、テーピングや専用サポーターで膝下の引っ張りを軽減
- 正しい巻き方や選び方は、専門家に相談するのがおすすめ
5. 必要に応じて専門家に相談
- 痛みが長引いたり、日常生活にも支障が出ているようであれば、整形外科やスポーツトレーナーに早めに相談を
- レントゲンで骨の状態を確認することで、正確な診断が得られる
軽いうちに正しく対応すれば、オスグッドは必ず良くなります。
「がんばらせる」のではなく、「治る環境をつくる」ことが親としての大事なサポートです。
まとめ
「成長期の膝の痛み」と聞くと、「どうせそのうち治るでしょ」と思ってしまいがちですが、“成長痛”と“オスグッド”では原因も対処法もまったく違います。
特にオスグッドは、正しく対応しなければ長引いたり、部活やクラブ活動に支障をきたすこともあります。
お子さんの「なんか膝が痛い…」というサインを見逃さず、
痛みが出るタイミングや場所、日中の様子などを観察してみてください。
もしオスグッドの可能性があるなら、
まずは「休ませる」「冷やす」「ストレッチ」の基本を実践し、
オスグッドLaboおすすめの「横向きで行う大腿四頭筋ストレッチ」も、ぜひ取り入れてみてください。
お子さんの「痛い」の背景には、体の変化とがんばりがあります。
まずはしっかり話を聞いてあげること、そして焦らず、一緒に乗り越えていく姿勢が何よりの支えになります。